FC2ブログ

我々と等身大の官能の物語。 「ダブル・ファンタジー」(村山 由佳)

ダブル・ファンタジー〈上〉 (文春文庫)ダブル・ファンタジー〈上〉 (文春文庫)
(2011/09/02)
村山 由佳

商品詳細を見る


ダブル・ファンタジー〈下〉 (文春文庫)ダブル・ファンタジー〈下〉 (文春文庫)
(2011/09/02)
村山 由佳

商品詳細を見る



おすすめ度:★★★★

人妻脚本家・奈津は、大御所の演出家に惚れていく。
彼との出会いにより、自分の中に眠っていた性に対する欲望を目覚めさせる。
トラウマを持つ不器用な奈津が、快楽の果てに見たものとは?

ヒロインは、才気と美貌を兼ね備えた人気脚本家です。
でも、その描かれ方はどこまでも我々読者と等身大です。
子供の頃は、家族による目に見えない囚われがあります。
そして、その囚われから解放してくれるはずの結婚が、知らず知らずのうちに新たな囚われに変わってしまう。
いくつになっても、けっして枯れることのない、恋や性にたいする憧れがくすぶり続けている。
我々が、ふだん気づかないふりをしていることを、本作品は気づかせてくれます。
ヒロインの場合は、一人の異性が、心のスイッチを押してくれるわけです。

それにしても、人間とは無いものねだりばかりしている気がします。
好きな人ができると、自分だけのものにしたくなる。
自分だけのものになったらなったで、今度は自由が欲しくなる。
逃げられると追うくせに、追われると逃げたくなる。
相手の幸せを願うなんていう高尚な気持ちは、幻想なのかもしれません。
恋とは、こんなにも自分本位なものだったのでしょうか・・・(遠い目)

官能の物語という帯文句に偽りなしです。
但し、読者が官能することを目的とする官能小説ではなく、ヒロインが赤裸々に官能を求める物語です。
ここまで潔く書き切った著者に拍手です。
妻にも読んでほしい気持ち半分、こんな世界観があることは見せたくない気持ち半分。
つくづく私はケツの穴の小さい男ですね・・・
でも、それが世の旦那さんたちの正直な気持ちではないでしょうか。


【編集後記】
同著者の骨太の恋愛小説はこちら。

野生の風 WILD WIND (集英社文庫)野生の風 WILD WIND (集英社文庫)
(1998/06/19)
村山 由佳

商品詳細を見る
スポンサーサイト
デリヘルもソープもイメクラも気に入った子がきっと見つかる
超大型リニューアル中の大好評風俗情報サイト!
[PR]

大好きな彼をメロメロにする秘密の言葉。 「ふたりの嫁-禁断の癒し-」(霧原 一輝)

長編官能小説 ふたりの嫁-禁断の癒し-(竹書房 ラブロマン文庫)長編官能小説 ふたりの嫁-禁断の癒し-(竹書房 ラブロマン文庫)
(2009/02/20)
霧原 一輝

商品詳細を見る


おすすめ度:★★★★

息子の嫁を書かせたら、右に出る者はいない霧原一輝さん。
ついに、禁断の「ふたりの嫁」を書いてくれました。
長男の嫁と次男の嫁です。
長男の嫁は大柄で肉感的な熟れ妻です。
まさに「ど真ん中ストライク」です。
私にとっての完成された女性像です。
女性らしい母性と包容力が素敵です。
次男の嫁は小柄でかわいらしい初心妻です。
セックスになるとM性を発揮するというギャップがたまりません。

ところで、男性を元気づける方法といえば何を思いつきますか?
おいしいものを食べても、素敵なプレゼントをもらっても男性は満足しません。
褒められたら多少はうれしいかもしれませんが、持続力はありません。
女性が、大好きな男性を、本当の意味で元気づける方法。
これほど簡単な問いはありません。
ずばり、セックスです。(「な~んだ」と言うなかれ!)

二人の嫁が、夫の父親に言うキラーセンテンスをお教えしましょう。

「私をかわいがってください」

私は妻に、「抱いてください」と言われたこと一度もないです。
実際100回以上抱いているのですから、一回ぐらい言ってくれてもバチは当たらないと思います。
だまされたと思って大好きな彼に言ってみてください。
彼はそのセリフだけで、あなたにメロメロになること請け合いです。
かわいくて、愛おしくて、抱きしめずにはいられなくなります。
男の自尊心が満たされるのです。

二人の美女からこんなことを言われて、たとえそれが息子の嫁であったとしても、冷静でいられる男がいるでしょうか?
もしいたら、即刻、逝ってよしです。
少なくとも男じゃないです。
むろん、霧原さんが描く、初老を迎える男性はそんな野暮じゃありません。
二人の嫁の存在が、自分にも、まだこんな力や欲望があったのだということを思い出させてくれます。

大人同士のセックスというのは、絶頂に導く為にあるのではありません。
触れ合いによる、戯れであり、癒しです。
演技することも多いです。
演技といっても、感じてるふりをするとかそんな話ではなく、女性がMを演じれば自然と男性がSを演じるといった、阿吽の呼吸で生まれる、言ってみれば一つの芸術です。
こういうノリがピタリと会う二人が、本当に体の相性がいいというのかもしれませんね。

ふつう、人妻官能小説は人妻の心理描写がキモなのですが、霧原さんの回春小説は、性春(モテキ)を迎える初老の男性の心理描写が抜群です。
とまどいつつも、男なら誰もが持っているスケベ根性が、ためらいを乗り越えてゆく。
疲れた大人の男性の心をくすぐる、リアリティに満ちた快作です。


【編集後記】
気になる作品はこちら。

監禁クルージング (幻冬舎アウトロー文庫)監禁クルージング (幻冬舎アウトロー文庫)
(2010/12)
水無月 詩歌

商品詳細を見る

貞淑な若妻とキモ中年は、人妻官能小説の王道。 「新妻【贖罪】 私は牝になる」(北都 凛)

新妻【贖罪】 私は牝になる (リアルドリーム文庫 24)新妻【贖罪】 私は牝になる (リアルドリーム文庫 24)
(2009/09/30)
北都凛

商品詳細を見る


おすすめ度:★★★

夫が起した交通事故をきっかけに、被害者である中年男に肉体関係を迫られる新妻・美帆(26歳)。
愛する夫との生活を守るため、「自分も夫と一緒に償わなければならない」と、無理やり自分を納得させる、世間知らずの新妻がいじらしいです。

人妻官能小説の王道をゆくストーリー(交通事故の償い)とキャスト(貞淑な若妻&キモ中年)だけに俄然期待は高まりましたが、前半は少し物足りなかったです。
人妻官能小説の醍醐味は、罪悪感と背徳感に苛まれながら、ジワジワと追い込まれていく人妻の心理描写にあります。
しかし、初心な新妻は、意外なほどあっさりと堕ちてしまいます。
また、キモ中年の魅力というのは、ハゲでデブというルックスのキモさもさることながら、「次に何をやってくるのか常人には理解できない」という不気味さにあるはずです。
でも、意外とやることはまっとうで、ただのエロ中年でした。

ただし、本作品の主題は、普通の人妻官能小説とは別のところにあるのかもしれません。
新妻が中年との関係にずるずるハマっていく前半は、衝撃の事実を目の当たりにする後半への壮大なプロローグに過ぎないのです。
お人よしで、妻を愛する夫の、本当の姿とは!?
妻にとっては、もう誰を信じたらいいのか分からない、読者にとっては、何が真実か分からない、そんなミステリアスな世界へ読者を誘います。

キモ中年の妻の存在にも注目です。
キモ中年とはどう考えても不釣り合いな、妖艶な人妻・綾乃(34歳)。
彼女も交通事故の被害者であり、軽い鞭打ちで少しの間入院しています。
どことなく男を誘うような、物欲しげな匂いがプンプンします。
彼女がいつか活躍するんじゃないかと、読者は鼻の下を伸ばしながら先を読み進めることになります。
綾乃目線の作品もぜひ読んでみたいです。


【編集後記】
気になる作品はこちら。

美熟女義母 湯けむり艶肌淫戯 (リアルドリーム文庫13)美熟女義母 湯けむり艶肌淫戯 (リアルドリーム文庫13)
(2009/03/31)
庵乃音人

商品詳細を見る

不倫相手と再婚した男のその後、教えます。 「ミスキャスト」(林 真理子)

ミスキャスト (講談社文庫)ミスキャスト (講談社文庫)
(2003/11/14)
林 真理子

商品詳細を見る


おすすめ度:★★★★

妻も子供もいるのに、若い女の子を好きになっちゃう。
大恋愛の末、妻と子を捨てて再婚。
念願かなって、かつての不倫相手と結婚した男は、その後、幸せに暮らしているのでしょうか?

男性が主人公の不倫小説です。
この主人公の凡庸さが、半端ないです。
男の悪いところの見本市みたいな人間です。
不倫中のこずるい男性の心理描写は素晴らしいですが、ここまで書かれると同じ男性として立つ瀬がないです。
しまいには腹が立ってきます。
男性の私でこれですから、女性が読んだら、本をぶん投げたくなるでしょう。

主人公は、川面にただよう根なし草のような男です。
確固たる自分の意志は何もありません。
ちょっとばかし仕事ができるのを鼻にかけ、この年で若い女とうまく恋愛できる自分をほめる。
自分のことを棚に上げ、妻の不倫を疑い、嫉妬心だけは人一倍強い。
世間の目を気にし、出世街道からはずれることを極度に恐れている。
思わず、「この俗物が!」と叫びたくなります。
男性の悪いところを凝縮したような男ですが、同じ男として、正直彼の気持ちが分からなくもないからつらいのです。
もし若い女の子に誘われたりしたら、自分も彼と同じような行動をとりかねない。
その怖さが、本作品の醍醐味でしょう。

やがて修羅場が訪れます。
心臓をわしづかみされるような息苦しさをおぼえました。
一生の間に、この場面、この瞬間だけは迎えたくないものです。
転落していく主人公に、溜飲が下がります。

「ミスキャスト」というタイトルが、最大の皮肉になっています。
「妻がミスキャストだったので離婚します」という意味ではありません。
こんな男が結婚すること自体、ミスキャストなんですね。


【編集後記】
同著者の女性を主人公にした不倫小説はこちら。

不機嫌な果実 (文春文庫)不機嫌な果実 (文春文庫)
(2001/01)
林 真理子

商品詳細を見る

上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。